虫歯は放置すると進行し、最悪の場合、抜歯が必要になることもあります。しかし、適切な治療を受ければ、歯を守ることが可能です。歯科治療に不安を感じる方も多いですが、現在では痛みを最小限に抑えた最新の治療法が多数導入されています。
そこでこの記事では、一般的な虫歯治療の流れを解説するとともに、痛みの少ない治療法について詳しくご紹介します。また、歯をできるだけ削らずに治療するMI(ミニマルインターベンション)治療についても触れ、患者様にとって最適な治療を提供する歯科医院の選び方についてもご案内します。
▼一般的な虫歯治療の流れ
一般的な虫歯治療は、以下の流れで進行します。
1. 診察とレントゲン検査
虫歯の進行度を確認するために、視診やレントゲン撮影を行います。レントゲンでは、目に見えない内部の虫歯の進行度や、神経への影響を詳細に確認することが可能です。初期の虫歯であれば、フッ素塗布や生活習慣の改善で進行を防ぐことが可能ですが、中等度以上に進行している場合は、適切な治療が必要となります。また、歯科用CTを活用すれば、歯の根の状態や骨の密度まで詳しく把握でき、より精度の高い診断が可能になります。
2. 麻酔と患部の除去
虫歯が進行している場合、治療中の痛みを抑えるために麻酔を施します。局所麻酔を用いるのが一般的ですが、痛みが苦手な患者様には、表面麻酔を併用して針の痛みを軽減する工夫も可能です。麻酔が十分に効いたことを確認した後、感染した歯質を慎重に削ります。現在では、拡大鏡やマイクロスコープを使用して、最小限の切削で健康な歯質を残すMI治療が推奨されています。また、最新の機器では削る際の振動や熱を抑えることができ、患者様の負担を大幅に軽減できます。
3. 詰め物や被せ物の装着
削った部分を補うために、コンポジットレジン(歯科用プラスチック)や金属、セラミックなどの材料で修復を行います。近年では、強度と審美性を兼ね備えたハイブリッドセラミックや、天然歯に近い色合いを再現できるジルコニアが選択肢として増えています。虫歯の範囲が広い場合や、神経を保護する必要がある場合には、クラウン(被せ物)を装着することが推奨されます。詰め物や被せ物は、患者様の噛み合わせや咬合力を考慮しながら適切な素材を選択することが重要です。
4. 噛み合わせの調整と仕上げ
詰め物や被せ物を装着した後、噛み合わせの微調整を行います。噛み合わせが適切でないと、歯に過度な負担がかかり、咬合痛や顎関節症のリスクが高まるため、慎重な調整が必要です。また、装着した補綴物(詰め物や被せ物)の表面を研磨し、滑らかに仕上げることで、汚れが付着しにくくなり、再発リスクを抑えることができます。最終的には、咬合紙やデジタルスキャンを用いた調整を行い、違和感なく自然な噛み心地を実現します。
▼痛みの少ない虫歯治療
痛みの少ない虫歯治療は、次の方法で実現できます。
1. 笑気麻酔・静脈内鎮静法の活用
歯科治療に恐怖心を抱える患者様にとって、治療中の不安やストレスを軽減することは非常に重要です。笑気麻酔は、笑気ガス(亜酸化窒素)を吸入することで、リラックスした状態を作り出します。即効性があり、治療が終わると速やかに覚醒するため、お子様や軽度の歯科恐怖症の方に適した方法です。
一方で、より強い恐怖心がある場合や、長時間の治療を受ける必要がある患者様には、静脈内鎮静法が有効です。これは、鎮静薬を静脈内に投与することで、意識をぼんやりとした状態にし、不安を大幅に軽減する方法です。患者様は治療中の出来事をあまり覚えておらず、ストレスなく治療を受けられます。特に、外科処置が必要なケースや過去の歯科治療でトラウマを持つ方に適用されます。
2. レーザー治療
レーザー治療は、虫歯の除去や歯茎の治療において非常に有効な方法の一つです。従来のドリルを使った治療と比べ、レーザーは振動がなく、痛みを感じにくいため、患者様の負担を大きく軽減できます。また、レーザーには殺菌効果があり、治療後の感染リスクを抑えることが可能です。
特に、エルビウムヤグレーザーは、硬組織(歯や骨)にも軟組織(歯茎や粘膜)にも適用でき、切削時の発熱が少なく、周囲の組織を傷つけにくいという特徴があります。さらに、歯周病の治療や口内炎の治療、知覚過敏の軽減にも活用されるため、多目的な治療に対応できる点が大きなメリットです。
3. カリソルブ
カリソルブは、スウェーデンで開発された最新の虫歯治療法で、虫歯になった部分だけを選択的に溶解することができる薬剤です。主成分は次亜塩素酸ナトリウムとアミノ酸で、虫歯に感染した歯質のみをターゲットにして除去します。そのため、健康な歯質を可能な限り保存することができます。
従来のドリルを用いた削る治療に比べて痛みが少なく、麻酔を使用しなくても治療可能な場合があります。特に、小さなお子様や高齢者、削ることに恐怖を感じる方にとって優しい治療法といえるでしょう。ただし、カリソルブが適用できるのは初期~中等度の虫歯に限られるため、進行した虫歯には適さないケースもあります。
4. ドックスベストセメント
ドックスベストセメントは、虫歯部分に直接塗布することで抗菌作用を発揮して、虫歯の進行を止める治療法です。主成分のリン酸カルシウムと銅イオンが、虫歯の進行を抑えながら歯の再石灰化を促します。
この治療法の最大の利点は、虫歯部分を大きく削り取らずに済むため、歯の構造をできるだけ温存できる点です。そのため、MI(ミニマルインターベンション)治療の一環として注目されています。特に、削る治療を怖がるお子様や、神経に近い部分の虫歯に適用することで、神経を残せる可能性が高まります。
ただし、ドックスベストセメントは即時の痛みを和らげるわけではなく、効果が現れるまでに時間がかかる場合があります。そのため、定期的な経過観察が重要となり、歯科医師の指導のもとで適切に管理することが必要です。
▼MI治療を実践している歯科医院がおすすめ
◎MI治療とは?
MI(ミニマルインターベンション)治療とは、歯をできるだけ削らずに、天然の歯を長く残すことを目的とした治療法です。従来の虫歯治療では、大きく削って被せ物をすることが一般的でしたが、MI治療では必要最小限の処置で歯の健康を維持します。
◎MI治療を導入している歯科医院のメリット
MI治療を実践している歯科医院では、最新の治療技術や機器を導入しており、痛みを抑えた治療を提供しています。また、歯をできるだけ削らないため、将来的な歯の寿命を延ばすことが期待できます。当院でもMI治療を積極的に取り入れており、患者様の負担を軽減しながら、より快適な治療を提供しています。
▼まとめ
虫歯は早期発見・早期治療が重要ですが、最新の技術を活用すれば、痛みを最小限に抑えた治療が可能です。笑気麻酔や静脈内鎮静法、レーザー治療、カリソルブ、ドックスベストセメントといった方法を取り入れることで、従来の治療に比べて負担を減らすことができます。また、MI治療を導入している歯科医院では、歯を削る量を抑え、健康な歯をできるだけ残すことができます。草加市のタケノコ歯科・矯正歯科クリニックでは、最新の技術を駆使し、患者様にとって最適な治療を提供しております。歯の健康を守るために、定期的な検診と適切なケアを心がけましょう。