みなさんは、かみ合わせも老化していくことをご存知でしょうか?かみ合わせの老化とは、かみ合わせが低くなったり、左右にずれていってしまうという事です。
それによって、歯が冷水でしみたり、あごの関節に痛みがでたり、顔が老け顔になったり(左右で目の大きさがちがう、ほうれい線が深くなる、目の下が脱脂によって膨らむなど)、偏頭痛や肩こり、不眠やうつ病、はたまた、糖尿病や歯周病を悪化させたりします。
ではなぜ、かみ合わせの老化が起こるのでしょうか?
その原因として、
- 態癖:睡眠態癖(うつ伏せ寝や手を顎に当てて寝るなど)、頬杖など。
- 歯科治療:入れ歯をいれたり、歯を治療することでかみ合わせが少しずつ変わってくる。
- 事故などの外傷や口腔癌による手術
- くいしばりや歯ぎしり
などがあげられますが、今回は特にくいしばりや歯ぎしりの為害性やその対処法について話したいと思います。
歯の表面を覆っているエナメル質はダイヤモンドと同じくらい固いと言われています。けれど、長年歯を使っていると、そんなに固いエナメル質で覆われている歯でも少しずつすり減ってきます。
ではどのようにしてエナメル質はすり減るのでしょうか?食事で物をかみ砕くからでしょうか?過度な歯磨きでしょうか?どちらも正解ですが、一番の原因は、くいしばりや歯ぎしりです。
無意識にくいしばったり、歯ぎしりしたりする時には(体格や骨格にもよりますが)、およそ、その人の体重の5倍から10倍の力が歯にかかると言われています。そのような力で長年ガリガリやられたら、いくら固いエナメル質でもすり減りますよね。。。
通常われわれが日中、起きている間に上下の歯が接触する時間は、食事の時間などを入れても10分から20分と言われています。けれど、力仕事をする人や、長時間パソコン作業をしながら、くいしばる癖のある人の場合、上下の歯の当たる時間が飛躍的に多くなります。このくいしばる癖の事を私たちの専門用語で、TCHと言います。TCHとは、Tooth Contacting Habitの略で、日本語に直すと歯牙接触癖と言います。
多くの場合、TCHは患者さんへの問診で明らかになります。なぜなら患者さんも自覚している事が多いからです。けれど、患者さんはそのこと自体が身体に悪い事だと思っていないので、今まで改善しようと思っていなかったのです。
TCHの治療方法としては、自分の目のつくところに「歯を離す」と書いた付箋を貼る事です。それを見て気づいて、歯を離す機会を増やせば良いのです。このようにTCHの場合は、自分から意識的に行動することで改善することができます。
しかしながら一番厄介なのは、睡眠中のくいしばりや歯ぎしりです。なぜなら、睡眠中のくいしばりや歯ぎしりは無意識に行われるので、TCHのように自分でコントロールできないからです。睡眠中のくいしばりや歯ぎしりは日中のストレスやいびきが原因と言われていますが、人によって様々です。
他の人に指摘されて気づくこともありますが、自分でチェックする方法としては、舌の横に歯型によってギザギザになっていないか?頬の粘膜の内側に線のように白い跡がついていないか?を、鏡で確認することです。また人によっては、朝起きた時に顔の筋肉がだるく感じるという人もいます。
歯科医が見ると、歯の状態でくいしばりや歯ぎしりの有無を確認することができます。睡眠中のくいしばりや歯ぎしりの治療法は主にスプリントというマウスピースを歯科医院で作製して睡眠中装着してお休みになることです。
それによって、上にあげたような症状の改善が見られた場合は、かみ合わせが原因という事になるので、抜本的な治療をおこなっていくことが一般的です。お心当たりのある方は、早めに歯科医院を受診することをおすすめいたします。